土の代わりにセラミス・グラニューを使用して屋内栽培で植物を育てる方法を解説していきます。
part1はセラミスの紹介と、植え替えの方法の説明です。
Seramis
セラミスとは何か?
セラミス (セラミスグラニュー) は、ドイツで採掘された粘土を高温焼成して作られた室内園芸用の資材で、土の代わりに植物を植えることができます。茶色い粒状で、吸水性、保水性、排水性、通気性に優れています。
セラミスのメリットとデメリット
メリット
- 多孔質の為、吸水性、保水性が高い
- 硬く焼かれた粒状の資材なので、排水性・通気性が長期間保たれる
- 無機質なので衛生的で、虫がわいたりする可能性が低い
- 乾燥すると色が変わるので、水やりのタイミングが初心者にも分かりやすい
- 洗浄・消毒すれば何度も繰り返して使える
デメリット
- 輸入品の為、価格が高い
- 使用できる肥料は基本的に液肥のみ
繰り返し使用可能な為、長期的に見れば割安ですが、初期投資額は土よりも高くなります。
従って、室内で少数の鉢植えや小さな鉢植えを清潔に育てたい方に向いていると思います。
セラミス植えが可能な植物
そこそこ大きい粒状の資材の為、種まきにはあまり向きません。基本的に、既に発芽している苗を植え替えることになります。
水耕栽培やハイドロカルチャー栽培ができる植物はセラミス栽培に向いています。私は、栄養豊富な有機質の土が向いているとされるバラ(小型品種) やセントポーリアでもセラミス植えで開花させているので、基本的に室内栽培できる植物はだいたいセラミス栽培可能だと思います。
ただ、ランや苔のような着生植物系は向かないかも知れません。
セラミスとハイドロボールの違い
セラミスとハイドロボールは、両方とも土を高温で焼成した人工的な植え込み材です。
しかし、セラミスとハイドロボールには大きな違いがあります。それは、セラミスは水を吸い込み保水することが可能ですが、ハイドロボールはあまり吸い込まず保水力が無いことです。
従って、ハイドロボールを用いたハイドロカルチャー栽培では、底に穴の無い容器を使い、水を溜めて植物を栽培します。一方のセラミスは水を溜める必要が無い為、通常の土栽培と同様に鉢底穴から流れ出た余分な水は捨てます。
実はセラミスのパッケージ裏には、底穴の無い容器でハイドロカルチャー式の栽培方法が説明されています。この方法で育てる場合、鉢底に穴が無い為、セラミスが吸水しきれなかった余分な水を、手でセラミスと植物を押さえながら鉢を傾けて容器の上から流して捨てる、ということを水やりのたびに行う必要があり、正直手間です。また、ハイドロ栽培だと植物が吸収しきれなかった肥料の残りなどがどんどん鉢底に蓄積してしまう為、頻繁に植え替えて洗浄する必要があります。
最初から鉢底に穴のある鉢と受け皿又は鉢カバーのほうが手入れが楽ですし、実際に私自身も普通の鉢にセラミスを入れて植物を育てています。
この記事では、鉢底穴のある鉢を使う場合の植え替えと育て方を説明していきます。
セラミスへの植え替え
鉢の種類
プラスチック鉢でも陶器鉢でも、土植えで使える鉢は何でも使えます。基本的に土に植える場合と同じタイプの鉢を選べば良く、浅鉢が適した植物なら浅鉢、深鉢が適した植物は深鉢に植えましょう。
もちろんスリット鉢も使えます。私はプラスチックのスリット鉢を愛用しています。
一部のミニバラのような、地表が見えなくなるほどたくさんの葉がビッシリ出るタイプの植物の場合、透明な鉢に植えて普段は鉢カバーで遮光しておくと、水やりの確認がし易いのでお勧めです。上は葉で覆われてしまっていても、鉢カバーから鉢を取り出して横から見てセラミスの乾き具合を確認できます。
苗の準備
ハイドロカルチャー用の苗が簡単です。ポットから出してハイドロボールを落とすだけです。
スポンジに植えられた苗の場合、スポンジが外せれば良いのですが、根が中に入り込んでいる場合は引っ張ると根が切れてしまう恐れがある為、根を傷つけない程度にスポンジを取ります。
土に植えられた苗の場合、土を落としたほうが良いです。土をつけたまま周囲だけセラミスで植えることも可能ですが、その場合、吸水性や保水性、無機質で清潔なこと等のセラミスのメリットが無くなってしまいます。
根を傷つけないよう、そっと土を洗い落としましょう。また、植えるまでの間に根を乾燥させてしまわないよう気を付けましょう。メネデール100倍液か水に入れておくと安心です。
植え替え方
鉢底穴が大きい鉢を使用する場合は、鉢底ネットを敷きます。
鉢にセラミスを入れ、上から水を流し、セラミスの細かい粉が出なくなるまで洗い流します。
鉢の底が隠れるくらいのセラミスを残していったん取り出し、植物の根がなるべくほぐれてばらけるように鉢に入れ、先ほど取り出したセラミスをかけます。根の間にセラミスが入るよう、少しずつ入れていきます。
セラミスは排水性が高い為、ウォータースペースはほぼ必要ありません。風通し良くする為に、鉢のフチのすぐ下くらいに高めに植えるのがお勧めです。
植え終えたらたっぷり水やりをします。水の代わりにメネデール100倍液がお勧めです。
植え替えの時期
ハイドロカルチャー苗を植え替えて室内で育てる場合、時期はあまり気にする必要がありませんが、真夏や真冬など、その植物の適温から外れた時期は避けたほうが無難です。
土に植えられた苗をセラミスに植え替える場合は、どうしても根を痛める為、その植物の植え替え適期が良いでしょう。たいていの草花は生育期が植え替え適期ですが、バラなどの樹木類は冬の休眠期が植え替え適期なのでご注意ください。